コアラの餌といえば、もちろんユーカリの葉。
常時、大量に確保するには、かなり広い林がバックアップ用も含めて複数箇所必要になるので、動物園では、自前あるいは外部と契約して、専用のプランテーションを作っているところが多いと思います。(ちなみに、日本語でプランテーション =plantation というと、安い労働力を使って単一作物を大規模に栽培するかつての植民地主義的な農園のイメージが強いですが、むしろ普通に使われる意味としては単なる‘栽培場’のことです。)
うちでも、2、3日おきに、車で30分から1時間ぐらい離れた場所へ新しい枝を切りにいきます。切った枝は冷蔵室で保存できますが、温度や湿度の管理がきめ細かくできるような高級な冷蔵室でもない限り、3、4日もすると古くなってきます。一度に収納できる量も限られているので、結局、2、3日おきに新しいのを入手というペースになっています。
ユーカリの林にはいろいろな生き物が住んでいて、枝を取るときに一緒にくっついてきてしまうことがよくあります。よくいるのはケムシの類い。クモやアリなんかもついてきます。グリーンアンツという攻撃性が強くてかみつくアリが、巣ごと入っていたりすると、泣きたくなるような思いで作業をすることになります。大きめのバッタやナナフシの類いが入っていると、ちょっとラッキーという気分になり、捕まえてポッサム(フクロギツネ)にあげると大喜びでかじりついてくれます。バリバリと効果音付きで…。
さらにラッキー度が高いのがカエル。
よくいるのは、Dainty Green Tree Frog (Litoria gracilenta) という種類で、和名はビハマアメガエルとかキアシアメガエルとか言うようです。
虫(クモとか含めて)やカエルは、そのままユーカリと一緒に冷蔵室に入れられてしまうと、強制的に冬眠状態になります。そして、室温に戻すとあっさり息を吹き返したりします。いわば、コールドスリープ。虫の場合は、ほぼ生き返るのですが、カエルは残念ながら復活しないことも多いです。入れられていた時間や、冷風の当たり具合にもよるんでしょう。
先日発見されて、復活しなかった例。
こうして水に浸しておくと、運が良ければいつの間にか動き出します。
このカエルは今までユーカリに入っていたのを見たことがない種類だったため、一部スタッフが大きな期待を込めて見守っていたのですが…復活してくれませんでした。
脚の裏側部分や脇の鮮やかな模様から、Roth's Tree Frog (Litoria rothii)という種類と思われます。
残念無念…。
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